変拍子の考え方
変拍子ってひとえに区切ってしまうと、4分の4拍子以外のこと。
でも、4分の3拍子はすでにワルツや演歌で幅広く使われているので、ちょっと違うかな?
普通の4分の4拍子は左のように譜面の頭に表記されるが、それ以外の
とかは、変拍子。まぁ、ここですでに理解できていると思うけど、拍子の見方の説明。
●分(分母)の■拍子(分子)と書かれたこの記号は、"1小節の中に分母の音符が分子の数だけ入りますよ"という意味。
例で言えば。左から順に
- 「4分の5拍子」=1小節に4分音符が5つ入る
- 「4分の7拍子」=1小節に4分音符が7つ入る
- 「8分の7拍子」=1小節に8分音符が7つ入る
- 「16分の13拍子」=1小節に16分音符が13入る
…ってなるね。っていうか、もう最後のは何が何だか…
ここまで、淡々と変拍子の説明をしてきたが、変拍子の考え方はこれまた簡単な算数なんですな。
それも、基本的には1〜4までしか出てこない足し算と引き算。
これなら高校で出てきたような公式も必要ないから、誰にでも分かるでしょ? 簡単なパズルだと思ってもいいですな。
「4分の5拍子」なら、「4+1」「3+2」「2+2+1」なんかの組み合わせに分解できるよね?
この考え方だけで良いんですな。
なんで細かく切るかってことを思うだろうけど、ドラムのフレーズは4分の4拍子で考えれば、2拍分で1パターンにできるのが大半。
スネアが1回入って1つのパターン。って感じですな。
そうやって細かく区切ってみれば、ここまで叩いて、1拍削るとか、1拍足すとか…。
そうやって考えを変えることができるんだ。
なんでもそうだけど、1つのことを片側からだけしか見られないようにしないで、どちらからでも見られるようにすれば簡単なんですな。
だから、さっきの組み合わせも、1つの拍子で何通りも組み合わせがあることを頭の中ででいいから、理解してもらいたいんです。
4分の4拍子だって、例外じゃないですな。
これはオリジナルのフィルインを作るときに役立つハズでございます。
ポリリズム
ポリリズムってタイトルだけで、間奏とエンディングにだけポリリズムを使った、某3人組テクノポップユニットっていう笑えるグループの曲を指してはしませんので、あしからず…
これは、実は変拍子とは異なるもの。
だけど、先ほどの考え方を利用した、聴き手を惑わせる? 演奏ができるんだ。
「ポリリズム」の"ポリ"は、モノポリーの"ポリ"と一緒。
"モノ"が単一であるのに対して、"ポリ"は複数を意味してる。
そのリズムってことは、「1つのリズムの中に、他のリズムが入っている」っていう意味になるんですな。
さっきも、4分の4拍子でも例外じゃないってことを書いたけど、このことなんだ。
いちばん簡単なポリリズムの代表を例として挙げますです。
簡単にスネアとバスドラムだけのフレーズにしたけど、ロックではよく使われるパターンだから、理解しておくとよい。
この例だと、「4分の4拍子の中で、4分の3拍子的なアプローチをしている」と言えるね。
2小節で1パターンっていうのが、完璧に4拍子だと言えるけど、スネアとバスドラム2回をワンセットと数えて、4セット目でやめちゃうと、3拍子になってしまう。
ということで、そこに、2拍分を足して、2小節で8拍にしているんですな。
なんだか、説明がごちゃごちゃだが…4拍子の流れの中で、3拍子を演奏するが、最後に2拍余るので、付け加えて"4拍子にあわせて"いるんだね。
次のは逆のパターンになりますな。
これも同じように見えるだろうが、今度は、"3拍子にあわせて"いるのが分かるだろうか?
譜面上は、4分の4拍子で書かれているが、3小節のフレーズになっている。
ということは、4×3で12拍分。
しかも演奏は4分の3拍子のアプローチをしているので、正確には、4分の3拍子を4小節、3×4の書き方をするのが正しいだろう。
このように、色々な組み合わせによって、普通の4拍子も聴き手に3拍子や全く違う拍子に聴かせることもできるのが、ポリリズムなんですな。
複合パターン
これが理解するのが一番難しいだろうね…
ある人(DTのMPさん)はサラっとこなしちゃうから困ったもんだ。
今回の例はあくまでオリジナルだ…と言い張る。似てても似てるだけだとスルーの方向で…
初めて見る人もいるだろうねぇ、8分の5拍子…解説しなきゃダメ? えらく大変だ…
まず、バスドラム、これはずーっと16分で連打、ただひたすら連打、夜が明けるまで連打という感じで、何も考えずに連打する。
そうじゃないともう、これから腕が入ってくるとめちゃくちゃになるから、とにかくあまり頭を使わないことですな。
次は、シンバルだね。
実はここが、ポリリズムになっている部分ですな。
ここは常に4分音符でつなげていけば、頭に入るようになっている。
途中で、8分の5拍子が入っているから、ウラになっているだけのこと。
この4小節を全て足すと、(8分の5拍子×2=4分音符5個)+4分音符8個の、計13拍になるのが分かるかな?
その13拍全て(1拍だけスネア)の頭にライドシンバルを合わせてあるから、マス目を良く見てみましょう。
さっきは、4拍子を3拍子に聴かせようというポリリズムだが、今回は逆。
変拍子を、4拍子に聴かせようという訳ですな。
だけど、正確に言えばこの例はポリリズムでもないのかもしれない…やっぱり、スネアの位置がおかしいもんね。
この例のフレーズを叩く上でのポイントは何も考えないってこと…ってそれじゃダメですか?
全てのパートを独立させて考えるしかないんですな…。
バスドラムは連打。ライドは頭に。スネアは右腕が変わっても同じパターンで…って言う風にね…
この手の演奏はすごく好きなんだけど、バンド全体でものすごく不規則な変拍子にしないと、ドラミングには活かせないから、諸刃の剣だね。
ドラムを活かすためには他のパートに変なフレーズを演奏してもらわなきゃいけないから…
まとめ&譜例
変拍子は確かに譜面で見ると難しい!!
けど、そんなに恐れることはない、って思っていただけたかな?
そう、基本は足し算・引き算。
まずは頭で整理して、叩くときはカウントしながら。
それを心がけていれば、いつのまにか、あのバンドの曲も簡単に叩けるようになるハズですな。
それじゃ最後に、変拍子のフレーズを何個か書いておくから、練習してみてくださいませ。