ドラム初心者講座 基礎編 2 それぞれの叩き方 Play The Drums

前書き

ということで、ここでは各パーツの叩き方なんかを、教えて行こうと…
まぁ、人それぞれフォームは違うし決め付けて言うことも出来ないんだけど、一般的な叩き方、奏法を書いていきます。

バスドラム

それでは、まずは『バスドラム』からかな。
これは、前の章でも述べた通り、スティックで(足でスティックが握れるなら、やってみてちょうだい)叩くのではなく、ペダルの先に付いた、丸い玉みたいな『ビーター』を当てて鳴らす。

ペダルの構造は、

  • ペダルを踏む
  • チェーン(あるいはベルト)を伝わって、ビーターの付いた半円形の板が回転
  • 下方向の力=半円形の板は前への回転になるので、ビーターは、ドラムヘッドへ
  • 打面にビーターがヒット
  • バスドラムのシェル(胴体)内で波動発生
  • ドーンと鳴る

こんな感じが繰り返される。
ビーターが打面に当たってから、どう戻すのか? という疑問は、バネが付いていて、その縮む力で跳ね返ってくるという説明で分かってもらえると思う。

叩き方は大きく別けて二通りあって、パワーは無いが素早いプレーに適した、つま先で踏む方法と、パワー重視のかかとで踏む方法がある。
これも、決め付けられないのでどちらが良いとは言えないが、自分はかかとで踏むことをお勧めする。
っていうか、大抵はこちらのほうが多いと思うので…つま先だと、長時間のプレーで、足がパンパンに張ってしまうからだ(自分はね)。
かかとで踏むのは、ひざから上の力を借りて、かかとを地面に叩きつけるようにして踏むので、さほど、筋肉を使わずに、体重を乗せて大きい音・パワーのある音が出せるのが利点といえるだろう。
また、ライブでバスドラムが聴こえないようなドラマーもいるが、ライブは全ての音を聴いてもらってこそ…だと思うので、下腹部にずしんと来る重低音を出していただきたいと、わたくしは思うのであります。

まぁ、このように二通りのプレー方があるが、かかとで踏むプレーをもっと突っ込んで教えていこう。
ペダルは、車のペダルよりも少し大きいプレートが付いており、そのプレートに足を乗せて踏み込む。
そのとき、踏み込んでいない状況でのかかとは、常に宙に浮いているようにする。
いつでも踏み込める体制にスタンバイしているような感じだ。
つま先はあまり力まず、プレートの先端に付いている、トゥストッパー(つま先が奥に行き過ぎないための金具)に触れるか触れないかの位置で、楽にしておく。
踏み込みの際は、つま先をその場に置いたまま、かかとを真下に押し付けるようにする。
そうするだけで、自然とペダルは踏み込まれてゆく。
これは、通常時あまり速いプレーをしていないときの奏法になる。

では、速いプレーは? というと、つま先を固定せずかかとをずらすように、踏み込んでやるのだ。
自分の場合は、2連打させるときは、最初の音のときに、プレートの手前側にかかとを落とし、2音目は、かかとが少し持ち上がったら、1回目のかかとを落とした位置より、少し前方に落とすようにしている。
かかとを持ち上げる距離と時間を最短にして、少しでも踏み込みを強く速く保つために、2音目は少し前方で踏み込んでいる。
口で説明するのはこれが限界だが、見てもらって理解するのも難しいだろうねぇ…もう、なんと言っても経験あるのみなので…ペダルが無いときの練習方法としては、逆につま先を固定して、かかとを前後ではなく、左右にずらすように練習すれば、より、実践に近いやりかただと思う。

とにかく、バスドラムとスネアドラム。
この二つは、はっきりと大きな音で聴こえるだけで、カッコ良くなるものだから、これだけでも、常に心配りをして叩けば、「良いドラム叩くねぇ」なんて、言われるようになる…ハズ

スネアドラム

はい、これまた説明が難しいねぇ…奏法もすごくたくさんあるけど、この講座はあくまで演奏をカッコ良く思わせる(聴かせる)ための講座なので、テクニック的なことは教えない…っていうか、そもそも教えられない…自分が出来てないんだもん…

それじゃ、スネアドラムの説明の前に、スティックを使うときにまず、どう握るの? っていう素朴な疑問を持つだろう…ということで、それからね。

基本的に握り方は二通りで、『レギュラーグリップ』『マッチドグリップ』の二つに別れる。
まず、レギュラーグリップというのは、ドラムが誕生したときにこの握り方が生まれたのだろう(詳しくは知らんが)、だからレギュラー…で、その握り方は、鼓笛隊の小太鼓の人と一緒。
右手(利き腕)は、じゃんけんで言う「グー」のように自然な形で握り、左手(利き腕の逆)は、親指と人差し指の間にスティックをはさみ、そこを支点にして上下に動かす。
ロックドラマーではあまり見られないが、ジャズドラマーはこの握り方の人を多く見かける。
左手の握り方がその握り方だけに、パワーを求めるのは難しく、繊細なプレーに適していると言えよう。

次は、マッチドグリップだね。
この"マッチ"とは、英語で"Match"と書くように、両方の握りを"マッチ"(一致)させるという意味。
どちらの手もレギュラーグリップの右手と同じように握る。
これは、どちらのスティックも腕に固定された形になるので、当然パワーが産み出されやすい。

握り方が分かったところで、実際のスティックを使った叩き方に入る。
以降は、マッチドグリップ・右利きを前提として書いていくので、左利きの方は左右を入れ替えていただきたい。

基本的に利き足でバスドラムのペダルを踏み、逆の足でハイハットスタンドのペダルを操作する。
そして、その左右に開いた足の間にスネアドラムが位置するように、セッティングをする。
ということは、スネアドラムを叩く際は、自分の太ももめがけて、両方の腕を振り下ろしてゆくことになる。
このときに、スネアドラムの上端よりも、太ももは下に無いといけない。
よく考えれば分かると思うが、太もものほうが上になっていると、振り下ろした両方のこぶしは、太ももにバシバシ当たりつづけてしまうから…。
それでは、自分の太ももが痛いばかりでなく、スネアドラムのヘッドにスティックがまともに当たらなくなる。

全てのスティックで叩かれる太鼓類は、ドラムヘッドに対して、チップ(スティックの先端部分)が水平に近くなるように当てる。
垂直に当てることは、ドラムヘッドを破くだけでなく、しっかりとした太鼓自体の鳴りを活かすことが出来ない。
だから、スティックで叩かれる太鼓類のセッティングは、自分の体に合った高さと角度、それにあわせることが重要になってくるので、セッティングの高さや角度と言うもののベストポジションは、他の人とは、必ずと言って良いほど変わってくるのだ。
ここまでで、スティックのドラムヘッドへの当て方は分かったと思うので、次は、腕の使い方について説明していく。

セッティングで説明したが、スネアドラムの高さ・角度は各個人のベストなポジションにセットする。
その際、ドラムヘッドにスティックのチップが当たった瞬間の腕を最終的な位置とすると、その"ひじ"の角度は、90度よりも少し下を向いているのが好ましい。
これは、ドラムというものには『リム』というものがついていて、それはドラムヘッドよりも5ミリから10ミリくらい高くなっているから。
もし90度ジャストだと、このリムにスティックの腹しか当たってくれないということになる。

ここで『リム』の役割についてだが、ドラムヘッドを固定してドラムヘッドに対してのテンション(引っ張る力)を与えるものが『リム』で、テンションをたくさんかけることによって、チューニングはハイピッチになり、テンションを下げると、ローピッチになる。
そして、スネアドラムの『リム』は特別で、スネアドラムの叩かれた時の音にプラスして、『リムショット』というものを与えることが出来る。
『リムショット』とは、そのまま、『リム』を叩いた音で、スネアのドラムヘッドと、『リム』を同時に叩くことで、破壊的なアタック音とパワーが生まれる。
このときの『リム』を叩いているのは、スティックの腹に当たる部分で、スティックを握っている手の、すぐに上の部分を当てる。
だから、ちょっと間違えて、チップの部分を少し向こう側にヒットさせると、自分の手を『リムショット』してしまうんですな…何度も出血させられましたです。

さて、前置きが長くなったが、最終的な角度が90度より少し下というのは、90度丁度だと、感覚的に腕をそこで"止める"感じになると思うが、それよりも角度が開くと、"振りぬく"という感覚に変化すると思う。
これは実際に叩かないと分からないかもしれないが、叩けば分かるさ、迷わず叩けよ…という誰かの言葉と同じですな。

さぁ、最終的な位置は分かったけど、その前の腕の振り方はどうすればいいか…
スティックは、力まず、スティックが落ちないようにするだけで良い。
そして、叩く瞬間の最初の動作として、まずスティックを持ち上げる。
このとき、ひじ・手首を持ち上げるようにして、ひじを自分の体のほうに曲げてやる。
そこから一気に、打面めがけて、振りぬくのだが、持ち上げたひじ・手首も同時に今度は下げてやる。
良く、「鞭のように」と形容されるが、その通りで、持ち上げたひじと、手首を一緒に下げることで、スティックの先端には加速度を付けた力が生まれ、筋肉にあまり負担をかけることなく大きな音が出せるようになるのだ。

そして、打面にスティックが接触する瞬間は、腕が前述通りの角度になるようにして、スティックの握りを強くする。
この握りの強さも重要で、最初の力で握っていたら、スティックが打面に当たった瞬間、どこかにすっ飛んでゆくだろう…。
そうならないためというのと、インパクトの瞬間に力強く握ることで、腕の振りから伝わった力を、スティックの先端に集中させることが出来るのだ。
力強いショットが好きならば、打面に当たった瞬間にそこに押し付けるようにしてみよう。
自分は、インパクトさせたらバウンドさせず、スティックのチップを打面に押し付けたままにしている。
そして、スティックのチップをどこに当てるか…というのも結構重要で、中央よりも少し向こう側というのが理想。
リムと、チップが当たる打面が離れていると、より大きな音が生まれる。
うまい人のドラムヘッドは、同じところが叩かれるので、それを見れば一目瞭然。
その人の使っているドラムヘッドを注目してみるといい。
ちなみに、チップが当たるところをリムに近づけると、甲高い音になる。
効果音として使うことも考えられますな。

今までの説明は、通常のスネアドラムの叩き方だけど、他にも色々あるんですな。
バラードなんかで良く使われる奏法だけど、これも『リムショット』なんだよね。
紛らわしいんだけど、純粋に『リム』しか叩かないの。
音的には「コッコッコッコッ」ってな感じで、他の楽器が静かな演奏じゃないと、はっきり言って聴こえない。
叩き方は特殊で、まず、スティックのチップをスネアドラムのヘッドに付けておく、そして、握る場所は、スティックの腹に当たる部分より、ちょっと、グリップエンド寄りかな、そこを、上からつまむようにして持つ。
音を出すときは、ドラムヘッドに付けたチップを支点にして、グリップエンドのちょっと手前を、リムに押し付けるようにする。
ヘッドのように跳ね返りはほとんど無いから、上からつまんでまた持ち上げないと、次のショットが出来ないので、地味な割に面倒でもある…。

他にも、プッシュロール・ブラシ(メタルじゃまず使わないですな)・ロールとか、もう挙げていくとキリが無いくらい演奏法が多いのがスネアドラムだ。
この中で、メタル、ロック系で使うものは、プッシュロールくらいだろう。
簡単な説明だと、スティックを打面に押し付けて、何回か跳ね返りを起こさせれば、それだけで、スティックは打面に何回も当たる。
そうすると、ロールっぽく、「だららら」って効果が得られるという奏法。

タムタム・フロアタム

これらは、基本的に奏法は一緒。
ただ叩くだけ…ってそんな説明じゃだめですな…。
まぁでも、ホントにそんな感じなんだ。
ただ、気をつけてもらいたいのは、出来るだけ同じ場所を叩くように心がけることだねぇ。
やっぱり、毎回違う音が出てたらおかしいでしょ? あと、心がけるのは、ちゃんと太鼓本来の鳴りを引き出しましょうってこと。
最近のミュージシャンでも、出来てない人が多いこと多いこと…
あまりにも太鼓の胴が鳴っていないと、ヘッドの音しか聴こえないのね。
それじゃ何のために森林を伐採して太鼓を作ってるのか? って問題にも…ってことには、ならないですか…。
実際、木(色んな材質で作られるが、大抵は木)で作られた楽器っていうのは、きちんとその木の中で良い音が生まれてくるんだけど、なんかねぇ…もったいない。

ハイハット

と、ここでようやくシンバル部門に移ります。

ハイハットも奏法がたくさんありますな。
一番多く使われる。『クローズド・ハイハット』から行きましょう。
これは、リズムを刻む上で基本となる音符で連続して叩かれるのがメイン。
8ビートなら8分音符・16ビートなら16分音符って具合にね。
叩き方は、ハイハットスタンドのペダルを踏んで、上下のシンバルを合わせた状態で、スティックで叩く。
これを少しペダルの踏みを甘くしてやると『ハーフ・オープン』になる。
これは、曲の盛り上がりに向けて、クローズ→ハーフっていう風にやると、ハイハットの音量が増して効果的。
あとは、常にハーフにしておいてラウドな曲に使う、っていう具合に使われる。
上下のシンバルに少し距離があれば、上側のシンバルを叩いた衝撃で下側のシンバルとぶつかり、うるさい音が出るようになる。

そして、『オープン・ハイハット』これは、基本的に『クローズド・ハイハット』と、交互に使われるもので、アクセント用と思ってもらって良い。
クローズはペダルを踏み続けるが、途中でそのペダルを緩めてすぐに踏む。
その間ハイハットを叩きつづけていれば、ペダルを緩めたときだけ少し大きい音になり、アクセントになる。
基本的にハイハットは、右手(利き手)で叩かれるが、速いビート、特に16ビートを叩くときは、両手で交互に叩かれることもある。
シンバルに共通して言えるのが、当てるまでの振りの動作中は、力まず楽に、インパクトの瞬間は、グリップをしっかりと絞るような感じで握るようにする。

その他に、ペダルを踏み込み上下のシンバルを鳴らす、良く曲中のカウントなどで使われる奏法などがある。

ライド・シンバル

これは、奏法というよりも、叩く場所によって、音色を変えて聴かせるシンバル。
通常は、エッジ(シンバルの外周、端っこのこと)と、カップ(中央の盛り上がったところ)の中央付近を叩く。
通常のエッジやカップを叩く際は、スティックのチップで叩くが、スティックの腹に当たる部分を使って、カップを叩く奏法もある。
この場合は「キンキンキンキン」という音がでるようになる。
そしてあまり使わないが、エッジをスティックの腹に当たる部分を使って叩く奏法。
これは、ラウドなリズムを刻むとき有効だが、物凄くうるさい…。

クラッシュ・シンバル

ようやく、基本セットのラスト、『クラッシュ・シンバル』です。
基本的には、アクセント用の大きな音が出るシンバルとして使われるけど、エッジの部分を連続で叩いて、リズムを刻むことにも使われる。
これは、見た目にも派手だし、音もすごいことになるので、ラウドな曲調でしか使えない…。

あとは、一枚のクラッシュシンバルを、両手で交互にすばやく叩きつづけるという奏法もあり、良く、曲のエンディングで、使われることが多い。
普通の叩き方は、シンバルを振りぬくのではなく、インパクトしたらすぐに戻すような感じにしてやると良い。
これは、シンバル本来の鳴りは揺れてナンボだからで、シンバルを振りぬこうとすると揺れがきれいに伝わらないし、逆に弱すぎるときっちり揺れてくれない(鳴らない)。

基本的にアクセントに使うものなので、バスドラムと合わせて使うのがメインになる。
この際、バスドラムをシンバルのところだけ、アクセント入れて叩いたりすると、すごく効果的。
その瞬間、バスドラム・シンバル相互に強烈なアタックになり、一層アクセントが際立つ。とても相性の良いパーツだ。
あと、良く使うのが『ミュート』で、曲中のブレイク(全演奏が一時停止)するところなんかで、他の楽器とユニゾンさせて「ジャッジャッジャッ」って感じのあれ。
シンバルを叩いた瞬間の音だけを聴かせるという感じの奏法で、

  • バスドラムとシンバルを同時に叩く
  • 直後に指あるいは腕でシンバルに触れて、ミュートする

という感じだね。
バスドラムを同時に叩かないで、ミュートした直後に踏んでやると、トミー・リーがやってた奏法になる。

長々と説明してきたけど、ホントに基本的な叩き方は分かっていただけたのではないでしょうか?
ドラムセットに含まれる楽器は、まだまだたくさんあるので、
それは応用編の基本セット以外のパーツで、教えていくことにします。

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