闘病日誌パート2 Medical Treatment Diary Part.2

闘病日誌 Part21

ようやく看護婦に呼ばれて手術に向かうのだが、当然麻酔を掛けられる。

その麻酔が、局部麻酔か腰椎麻酔かで偉い差だ。

って聞いていたのだが、自分の場合みたいに下半身が手術対象の人は腰椎麻酔だということだった...最悪。

すでに、そのときにこれから待ち受けている最悪の体験を覚悟していた...その体験とは...

(つづく)

闘病日誌 Part21 ここまで

闘病日誌 Part22

手術のために病室とは別の待機室みたいなところで、上半身裸、下半身はふんどしみたいな布にガウンみたいなものを身に付け横たわっていた。

「最悪だ〜」心の中ではそう叫んでいた。

ベッドのまま1階手術室へ運ばれるとそこには看護婦が一人...この人に?...恐怖心はピークに達していた。

腰椎麻酔は下半身全体に効く麻酔である。

ということは、おしっこも自分では出来ないということだ...

(つづく)

闘病日誌 Part22 ここまで

闘病日誌 Part23

今日は痛いぞ!! 特に男

おしっこが出来ない、ということは強制的に排尿させなければいけない...ということは...そう、尿道にチューブを刺して排尿するのだ...

麻酔が終わってからだと思っていたのに、看護婦がふんどしみたいな布を捲り上げている、「嘘!! 今?」看護婦は薬(ワセリン?)を塗りつけ、容赦なくチューブを差し込む...痛い、痛すぎる...

少しだけと思っていたら入ること入ること、多分、膀胱まで刺さないといけないのだろうけど、その拷問は、自分の体内時計で1時間ほど続いた...

(つづく)

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闘病日誌 Part24

下腹部に違和感を覚えながらしばらく横たわっていると、手術を担当する副院長がようやく手術室に入ってきた。

「麻酔をかけるので、横を向いて背中を丸めてください」そう言われるままに横を向くと、看護婦3人で力任せに首とお尻をつかまれ、無理矢理背中を丸めさせられる。

このとき、ヘルニアが治りきっていない首にものすごい負担がかかって、これまた拷問にしか感じられなかった。

そして、背中の丸まった部分。

背骨の骨と骨の間に、麻酔用の注射針が牙を立てた...

(つづく)

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闘病日誌 Part25

腰椎麻酔は背骨の骨の間に注射されるのだが、その注射針は自分の腰の部分を何回も突き刺した。

そのたびに激痛が走り、背中を丸められているおかげで、自分のお尻は剥き出し...当然、大事な部分も丸見えになっているだろう...という恥ずかしさ。

全て、最悪の出来事だった。

そして、ついに諦めたのか副院長は「背骨が曲がっててね」そんなことは予想出来ていたから「んで?」って思うと。

「もっと上手い人読んでくるから」だって...

結局、麻酔は皮膚麻酔に変更され、あっというまに下半身の感覚はなくなっていった...

(つづく)

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闘病日誌 Part26

下半身は麻酔で全く感覚が無いが、意識はしっかりとある。

当然、医師や看護婦のやりとりも聞こえてくる。

聞こえて欲しくない音も...

それは、自分の骨に穴を空ける音だった。

真っ二つに折れているので、骨片を取り出して、それに固定用のボルトを刺す穴を空けているのだ。

ドリルの音だけでイヤになっていたので、足元を覗く勇気も無かった。

多分、見てしまったら、麻酔無しで意識がなくなっていただろう...

(つづく)

闘病日誌 Part26 ここまで

闘病日誌 Part27

手術そのものは、非常に簡単なものだったので、時間も1時間くらいで終わったのではないか?

というのは、下半身だけとはいえ、麻酔で少し寝てしまったようだったからで、骨を削る音を聞いてからの記憶が薄い。

とにかく、手術は終わった。

あとは麻酔が切れてからの痛みだけがこの辛さの締めくくりだろう、と思っていた。

が、それだけでは済まなかった。

最悪の屈辱が待ち受けていた...

(つづく)

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闘病日誌 Part28

手術を終えて、手術前に入った控え室のような病室に戻り、術後の経過を見る。

自分が戻った頃には、前の手術が伸びたせいか、夕食の時間になる。

「自分には?」と聞くと、まだ出せないということだった。

取っておいて、夜中にもらえるものだと思っていたが、それも無かった...これで、24時間何も食べていない。

結局朝までに、32時間ほど我慢することになった。

でも、それより辛いことがあった。

麻酔が切れ、痛みを感じ出した時から、それは夜中まで続いた...

(つづく)

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闘病日誌 Part29

麻酔が切れて、尿道に刺さっているチューブの違和感が走る。

患部にも激痛までとはいかないが、やはり痛みが...

だがそれよりも、病室に戻ってテレビを見ることも、食事を取る事も許されなくて、なかなか寝付くことが出来ないでいると、今度はお尻に激痛が...これが最大の痛みだった。

別にメスを入れられたわけでもないのに、どうやってもその痛みからは逃れられなかった。

仕方なく、ナースコールで看護婦を呼ぶことにしたが、これが最悪だった...

(つづく)

闘病日誌 Part29 ここまで

闘病日誌 Part30

駆けつけた看護婦に「お尻が...」というと、「どうしたら良いかなぁ?」って、聞かれても困るんだけど...

床擦れみたいなものだ...って。

「どうにかならない?」って聞くと、看護婦はすぐにナースステーションに戻っていった。

しばらくすると何かを持って戻ってくる。

「はい、足を上げて」言われるままに足を上げると、いきなり自分の大切な部分をまた物のように扱われ、その直後お尻に激痛が走る...ざ、座薬?

何も無しでくるとは思っていなかったので、痛みは倍に感じた。

「これで、効くはずですから」と言い残して去っていく看護婦。

だが、痛みは引かなかった...

(つづく)

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闘病日誌 Part31

普通、痛み止めの順番は、座薬→注射という順なのだが、座薬を入れても良くならないので、注射されるんだろうなぁ...と思いながら、再びナースコールをする。

看護婦は「どうしようかねぇ?」と同じことを言う。

こっちが教えてもらいたいくらいだ。

ナースステーションに戻った看護婦は、また何かを持ってきた。

それは、大きい綿だった。

「これ敷いてみようか?」なんでも良いからやってくれ!! そう思いながら、腰を浮かす。

腰の部分にあてがわれた綿に、腰を下ろすと...「全然痛くないじゃん!!」...これで、寝付くことが出来た。

あの座薬の意味は?...

(つづく)

闘病日誌 Part31 ここまで

闘病日誌 Part32

ようやく長い夜が空けた。

自分の病室に戻り、丸32時間ぶりの朝食を詰め込む。

食事は質素だけど、不味いとは思わなかったし、大盛りで頼んだ量が多くて「太りそう」って思えるくらい、いつも満腹になれた。

これからは、食事〜一服〜昼寝〜食事〜一服...という、時間が続いていくことになる。

ただ、嫌な時間があった。

傷口消毒の時間だ...

(つづく)

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闘病日誌 Part33

消毒の時間...それは昼食を食べて、一服したころにやってくる。

看護婦と一緒に医師が見回りに来て行うのだが、自分の場合手術が終わり、当然ボルトも入り、あとは動かないようにギブスで固められていた。

それを、どうやって? と思うだろうが、それは簡単。

ギブスに四角い窓を開けてやるのだ...

消毒の時には、その窓を開いて患部を処置する。

ということは...その瞬間、患部が丸見えになる。

そこで変なものを発見してしまった...

(つづく)

闘病日誌 Part33 ここまで

闘病日誌 Part34

その変なもの...というのは、傷口から伸びている透明なチューブであった。

傷口は10針縫われているが、その下から2番目と3番目の間から、そのチューブは伸びている...「なんでこんなところに?」誰でもそう思うだろう。

チューブはそんなに細くないので、その部分だけ傷口が少し開いている感じだった。

ただ、ホントに開いていたら大変なことになるので、あくまで自分の見たときの感想だけど。

で、肝心なチューブの意味は?...

(つづく)

闘病日誌 Part34 ここまで

闘病日誌 Part35

そのチューブの意味は...何のことは無い。

血抜きのチューブだった。

手術した後も内部で出血すると言うことなので、そのチューブから出て来るようにしてあるのだ。

確かに、内部で出血されたらたまったものではない。

納得できる処置法だ...

結局、そのチューブは1週間ほど刺さったままだった。

が、これから控えているボルト抜きのときも、ボルトが抜けて開いた骨の穴から出血するらしいので、またチューブを刺されることになるのじゃないかと....

(つづく)

闘病日誌 Part35 ここまで

闘病日誌 Part36

日々辛いと思ったのは、消毒。

それと点滴だ。

傷口が化膿しないための抗生物質が含まれている。

この量がまた多くて、缶ジュース(350ml)くらいはあるのではないだろうか?

点滴中はうかつに動けないので、じーっとしていなければいけないのだが、量のせいか尿意を催すことが度々あり、そのときは辛かった。

そんな退屈と苦痛の毎日が続く中、一人の男によって面白いものに変わってゆく...

(つづく)

闘病日誌 Part36 ここまで

闘病日誌 Part37

その男は、腱が切れた男・腕の骨を折った中学生。

に続いて、自分の隣のベッドに入院してきた男のことだ。

その男は、年のころ自分の少し下かな? という感じのなかなか好感の持てる男で、入院してきた理由は、自宅でやっているプレスの機械に指を挟まれたということで、薬指の第1関節が失われていた。

だが、彼は至って明るく「やっちゃったものはしょうがない」くらいな感じで、あっさりしている。

入院患者はほとんどの人間が、同じような行動をする。

ということは、食後の一服も同じような時間で集まるようになる。

そんなときに二人で話していると、ある意外な事実が...

(つづく)

闘病日誌 Part37 ここまで

闘病日誌 Part38

二人で話していると、話題はギャンブルに移っていった。

その彼は、パチスロの目押しがめちゃくちゃ上手い、ガイキチスロッターだということが分かった...

だが、意外な事実とはそんなことではない。

他には競艇をやるということなので、電話投票の話になり、自分もケイリンのだったら前の会社(物流会社)にいた時に、同じ部屋の3人ともが会員になったということを話す。

彼は、不思議そうに首をかしげている。

「いつ頃?」と彼、「もう3年前になるかな?」と自分。

彼はそのとき、何かを思い出したように質問してきた...

(つづく)

闘病日誌 Part38 ここまで

闘病日誌 Part39

彼は、自分の友達も3年前に競輪の電話投票会員になったことを言うと共に、その会社はどこにあるか聞いてきた。

「南越谷、家から5分のところ」そう言うと彼は、「その会社って、Mリオン(仮名)じゃないですか?」は? 何で知ってるの? とびっくりさせられた。

「そこにいるK野(仮名)っていうのが自分の友達なんですよ」何〜? その通り、K野君とM屋さんと自分が、同時に会員になった3人である。

彼とK野君は高校のバイト先が一緒ということで、今でもたまにつるんでいるそうで、古い付き合いだった...

(つづく)

闘病日誌 Part39 ここまで

闘病日誌 Part40

そして、自分とそのK野君とも妙な係わりがあった。

自分の通っていた高校と、K野君の通っていた高校も実は同じだった。

ようは後輩ということになる...

自分のほうが1ヶ月ほど先にその会社に入っていたのだが、入院していた彼とK野君共通の友人が、その会社ですでに社員として働いていて、その紹介で入社してきたので、自分には卒業した高校が同じ後輩だなんて、知る由も無い。

さっそく、彼の携帯でK野君に電話をかけた...

(つづく)

闘病日誌 Part40 ここまで