手紙 Letters

手紙 Part01

高校のバイト先、ヨー堂で起こった出来事。

自分は2階にある、靴売り場で働いていた。

そのフロアは、主に衣料関係の品しか置いていない。婦人服・下着・装飾品・バッグ...

高校に入ってすぐにバイトをはじめたので、そのときすでに3年を迎えようとしているときだった。

大学入試も間近、卒業も間近である。

古株となっている自分は、仕事中に色んな売り場にも顔を出すようになっていた。

当然、売り場のバイトの女の子とも話すようになる...

(つづく)

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手紙 Part02

とはいえ、仲の良いのは服飾部門と下着部門の人間で、バッグ売り場、下着売り場によく顔を出していた。

そんなときに、下着売り場のところにレジコーナーがあって、そこに新顔の女の子が入ってくる。

年は自分より下なのだが、高校には通っていなくてパートで入ったということだった。

そのとき、他の女の子に好かれていたのだが、一発でその新顔の女の子を気に入ってしまう...

仕事が終わってから一緒に遊んだりするようになるまで、そう時間はかからなかった...

(つづく)

手紙 Part02 ここまで

手紙 Part03

そんな感じになってしばらくして、その子から「お客さんに渡された...」と言って、1通の手紙を渡される。

内容は、「売り場で見かけて、好きになりました」という内容で、ようはラブレターだった。

ただ、名前も何も分からないので、どんな人なのか? そのレジの子にしか分からない。

特徴を聞くが、全然見当もつかず数日が過ぎた。

その間に、そのレジの子と遊んだりしていたのだが...

(つづく)

手紙 Part03 ここまで

手紙 Part04

そして、2度目の手紙が渡される...

その内容は、その日の仕事が終わったら、お店の前の電話ボックスの前で待っています...ということだったが、電話ボックスは四方にあり、どの電話ボックスかいまいち分からなかった。

そして、なぜかそのレジの女の子と一緒に待つことになった...

仕事が終わり、もうすでに3時間くらい待ちつづけている。

が、その"手紙"の女性はやってこない。

他の電話ボックスかと思い、色々見て回るが、やはりどこにもいなかった...

(つづく)

手紙 Part04 ここまで

手紙 Part05

もう時間も10時を過ぎていたので、待つことを諦めレジの子をチャリに乗せて送っていく。

家の近くの公園で、「今日、来なかったね」とか、「どんな人なの?」とか色々話していくうちに、その子も自分のことを、好いていることが分かり、お付き合いする方向で話がまとまる。

以降、皆で遊びに行ったり、二人で遊んだり...だが、またここで新しい手紙が届けられる...

(つづく)

手紙 Part05 ここまで

手紙 Part06

その手紙の内容とは...

「他の女の子といただろう!!」とか「売り場で、女の子と話してるな!!」という、とっても怒り口調の手紙で、「どこで見てるの?」っていう不安感・恐怖感が芽生える手紙だった。

もう、その日からは、帰り道で「きょろきょろ」売り場でも「きょろきょろ」と、落ち着かない日々が続く...

売り場で、例え仕事の話でも、うかつに出来ないなんて...それからは、ことあるごとに「手紙」が届き、その内容は激しさを増すばかりであった...

(つづく)

手紙 Part06 ここまで

手紙 Part07

どんどん、エスカレートする内容...

その中には、「あなたの家が分かりました」とか...

「妹さんって○○って言うんですね」とか...

「親に女性のことをバラしますよ」とか...

別に、そんなこと言われても問題ないが、それをどうやって調べたの? っていうのが一番怖かった...

とにかく、どこかで監視されているのだ!!

もう、毎日が不安の日々になり、何事も手につかなくなる。

そんな期間が何ヶ月も続いた...

(つづく)

手紙 Part07 ここまで

手紙 Part08

その手紙の差出人は誰か?...

実は、今になっても判明していないのである。

だが、それらしき相手は絞られているが...

その、手紙は全部で56通来たのだろうか? 内容は回を増すごとに過激に、そして、口調がだんだんと変化していった...

出だしは普通の口調で書かれていても、途中から急に言葉が乱暴になり、最後には文字まで凶暴に...もう、その手紙を渡されるだけでも、恐怖だった。

そして、自分のことを好いている、バッグ売り場の女の子から意外な話を聞くことになる...

(つづく)

手紙 Part08 ここまで

手紙 Part09

バッグ売り場の女の子からの話...

「その手紙の相手って、分かった?」

「それって、そのレジの子なんじゃない?」

その言葉を聞いて、どきっとした。

確かに、その手紙の内容にあることなら、レジの子が知っていてもおかしくないことなので...でも、二人で会っている時は至ってまともで、楽しく遊んでいるのに何が不満なんだろうか?

ただ、確実な証拠もなく確かめようがない...直接聞くのも怖くて出来ない...バッグ売り場の子の前で固まってしまった...

(つづく)

手紙 Part09 ここまで

手紙 Part10

それから、すぐにそのレジの子は仕事を辞めた。ホントに急だった。

謎が解けぬまま、それきり手紙も来なくなった。

手紙の主は誰なのだろう? レジの子か? バッグ売り場の子か?...それとも...

だが、あの手紙の内容...レジの子の自作自演だったとしたら、相当怖いものがある。

仲良く遊んでおいて、どうしてあんなに怒るのか? 全く理解が出来ない...

そして、今も手紙の主は...わからない...

P.S.後日談。その後レジの子が、自分のいとこと付き合っているとか言うことを聞きました...

(完)

手紙 Part10 ここまで